公開日: 最終更新日:2018/10/15

スペクトルと可視光、LED照明について

可視光通信を語る時にまず知っておきたいのが、可視光とは何か、光とは何かということです。ここでは、光の3原色を知るのに欠かせない言葉、「スペクトル」について考えてみます。

スペクトルとは?

「スペクトル」とは何でしょうか?

簡単にいうと分光です。 太陽光(ここでは透明の太陽光を白色光と呼ぶ)をプリズムに通すと、虹のように連続した色の帯が現れます。太陽光には、周波数の異なるいろいろな電磁波と光の粒子(光子)が含まれていて、普段はそれが混じり合い白色光として認識されます。 太陽光は、プリズムを通して屈折することで、周波数の異なる光子に分別されます。言い換えれば白色光が虹色に分別されるのです。これを分光といいます。 この現象を発見したのがニュートンで、彼は分光された色の帯を「スペクトル」と名付けました。

その中で、人間の目に見える光のスペクトルを「可視光スペクトル」と呼びますが、これが色と大きな関係があります。ちなみに、赤外線スペクトルも紫外線スペクルもX線スペクトルも存在します。 波長ごとにスペクトルによって分光された光を再び合わせると、その組み合わせによりさまざまな色の光ができます。これを加法混色といいます。スペクトルで分光されて色のついた光を、レンズで再度集めて収束すると、また白色光になります。 また、スペクトルによって単色光を取り出すことが可能です。光の3原色(赤、緑、青)の単色光を合わせても、白色光になります。単色光はプリズムに再度通しても分光はできません。

今まで開発が困難とされていた青色LEDが出現したことで、赤、緑、青の光の3原色がLEDに揃いました。単色光の組み合わせと強弱でフルカラーが表現できるため、LEDによるフルカラー表示が実現できるようになったのです。

光の3原色とLED照明

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現在、LEDで白色を表現するために実用化されている方法は、次の3パターンです。

1. 青色LED+緑色LED+赤色LED 光のロスが少なく、フルカラーを発光できる上に発色も良いことから、ディスプレイ照明や大型ビジョンで利用されています。ただし、偏りのない白色を出すためには、それぞれの色のバランス調整を、かなり慎重に行う必要があります。

2. 青色LED+蛍光体 現在の主流がこちら。LED照明のほとんどがこの方法を採用しています。青色LEDが発光した光を、黄色系の蛍光体を通すことで白色を表現します。発光効率が最も高く、簡単に作れることから、最も普及しています。ただし、発色の調整が難しく、青みがかった白色になりがちなのが難点です。

3. 近紫外LED+蛍光体 紫色の近紫外LEDで発光した光を、青・緑・赤の蛍光体に当てて白色を表現します。自然光に近い色の表現を演色性といいますが、その演色性が高く、色のばらつきが少ない方法として注目されています。現在はまだ普及スピードは緩やかですが、発光効率がさらに向上すれば、一気に普及する可能性があります。

※この記事は2014年11月23日の記事に加筆し、更新したものです

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