公開日: 最終更新日:2018/10/15

可視光通信とノーベル賞

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青色発光ダイオード(LED)の研究、開発に携わった日本人研究者3名に、2014年度ノーベル物理学賞が贈られました。可視光通信の観点から振り返ってみたいと思います。

ノーベル物理学賞が、青色発光ダイオード(LED)発明者に!

2014年のノーベル賞の発表がありました。

赤松勇氏(名城大学教授、名古屋大学特別教授)、天野浩氏(名古屋大学教授)、中村修二氏(米カリフォルニア大サンターバーバラ校教授)の3名が、青色発光ダイオード(青色LED)の発明、実用化における功績で、ノーベル物理学賞を受賞した事は、日本にとって大変明るいニュースでした。

補足すると赤松氏は神戸工業(現富士通テン)出身、中村氏は日亜化学工業出身で、社員時代の職務発明に関して訴訟を起こしたことは、みなさまもよくご承知のことでしょう。お二人はサラリーマンで、いわば企業の特命で商品の研究開発を手掛けておられました。天野氏だけがバリバリの研究者です。

この「企業を引退した人」「職務発明をした人」「大学の研究室で日々実証実験を行っていた人」の知恵と力の集結が、青色LEDの発明につながったわけで、3名一緒に受賞されたことは誠に喜びに堪えません。 2001年に中村氏が書かれた「怒りのブレークスルー」を読んで、大変面白かったことを記憶しています。中村氏は、青色LEDが初めて信号機に搭載された交差点(名古屋市中区の市役所交差点)に、日が暮れるまでじっと見入っていたそうですが、私もこの交差点のLED信号機第1号を見た時の衝撃を覚えています。

青色LEDの登場により、世の中がどんどん変わっていきました。

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青色LEDが生まれたからこそ、可視光通信の研究も進んだ

青色LEDが実用化、製品化されたことで、光の3原色のRGB(赤、緑、青)がそろいました。これにより、加法混合(RGBの3つの色を組み合わせてフルカラーを再現)を使って色を作ることが、LEDで可能になりました。この光の3原色は、ご承知の通り全部あわせると白色になるので、照明に使われている白色LEDも可能になったのです。

もちろん、実現させるだけの光量の改善や一般が使えるレベルのコストなど、多くの問題を今日までにクリアして、ここまで普及させることができたのですね。 この光の3原色RGBが、人間の眼に見える光「可視光線」なのです。

可視光通信は、人間の目に見える光を利用した通信方法。LEDが一般に普及しているからこそ、さまざまな応用の可能性が広がっています。この青色LEDの開発がなければ、可視光通信もまだまだ先の話になっていたでしょう。なにはともあれ、2014年度ノーベル物理学賞を受賞されたお三方には拍手喝さいです。

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