日本の可視光通信はこの人から始まった! 慶応義塾大学名誉教授 工学博士 中川正雄氏インタビュー【Vol.4】

公開日:  最終更新日:2016/04/29

日本の可視光通信を常にリードされてきた慶応義塾大学名誉教授 中川正雄先生へのインタビューシリーズも今回が最終回。可視光通信技術の今、そしてこれからの展望について伺いました。(4回シリーズ)
日本の可視光通信はこの人から始まった! 慶応義塾大学名誉教授 工学博士 中川正雄氏インタビュー【Vol.1】
日本の可視光通信はこの人から始まった! 慶応義塾大学名誉教授 工学博士 中川正雄氏インタビュー【Vol.2】
日本の可視光通信はこの人から始まった! 慶応義塾大学名誉教授 工学博士 中川正雄氏インタビュー【Vol.3】 IMG_0297(左)慶應義塾大学名誉教授 工学博士 IEEEフェロー (社)可視光通信協会 理事 中川正雄氏  (右)寿田龍人 カシケン運営・聞き手

掲示板が多国語で

2015年10月には、VLCA(一般社団法人可視光通信協会)で国際会議をやります。イメージセンサーを利用した技術が、日本からいくつか出て商品化されるかもしれないというタイミングで、慶應義塾大学日吉キャンパスで国際会議を開いて、同時に展示も行う予定です。 VLCAのメンバーでもあり、2020東京五輪のワールドワイドオリンピックパートナーであるパナソニックさんに先日伺って、2020年向け技術や製品の展示を見学してきました。可視光通信関係で展示されていたのは、いわゆる電光掲示板です。LEDのパネルで、「●●会場」「●●競技場」など、日本語と英語表記されているものですが、これをスマホでとらえると自分の好きな言語で表示される、というものになりそうです。 これが実現すれば、早晩、街中でも展開されることになるでしょう。カメラを向けるとより詳しい情報が受け取れる掲示板が、駅や主要スポットに設置されることも、そう遠い話ではなさそうです。「可視光通信」はまさにこうした使い方に向いています。 同じことを無線LANでやろうとしても、現在地が東西南北のどちらを向いているのかが判別できません。また、無線はピンポイントではなく広域で情報が流れますから、不要なものまで入ってくる。下手をしたらハッカーまでも入ってくるんじゃないかってね。無線の最大のネックは見えないところ、責任をもてないところでしょう。便利なんだけどね。 IMG_0276

ショッピングやエンターテインメントにも

富士通研究所さんの技術応用もおもしろいですよ。LEDそのものを発光源とするのではなく、対象物に光を当ててデータ送信をするんです。 ある有名なTVショッピングですが、進行役や商品を照らすライトに符号が入っているんです。三原色をうまく使って変換させて、テレビを通しても人間の目にはちらつかない。普通のライティングと同じなのに情報が入っていてスマホでも撮れます。マーケティング的なところまではわかりませんが、TVショッピングに使っているのはおもしろいと思います。 アート分野での活用も良いと思いますね。ファッションショーやコンサートなど、スポットライトを浴びせるとそこから情報が取れるとか、舞台のセリフの多国語化や解説など。今、イヤホンガイドがあるエンターテインメント系のサービスは、置きかえることができるでしょう。美術館や博物館では、「カメラ」を対象物に向けられませんので、導入は難しいかもしれませんが。 IMG_0289

餅は餅や

前回もお話ししたけれど、すでにできあがっているインフラを活用できること、指向性があり直接的、ダイレクトで発信源と対象物が分離しないこと、これが可視光通信の優位性です。僕は電波もずいぶんやってきたんだけれど、電波と戦うようなことはしたくないんだな。餅は餅屋でね。お互いの良いところを伸ばせればいいと思う。可視光は今のところは、電波には歯が立たないのですから、その立ち位置を間違っちゃいけないと思います。 僕は日本の家電メーカは、また盛り返してくると思っています。モノづくりの視点、センス、経験、技術力など、ポテンシャルはやはり強い。2020年に向けて、おもしろい商品がどんどん出てくるんじゃないかな。 可視光通信も海中通信まであって、4月にはVLCAに海洋開発機構(JAMSTEC)が加入されました。 海底でも高速通信が必要になってきていて、これは可視光通信の独壇場です。水中はもちろん無線が使えませんし、音波は音声レベルがやっとの状態の中。どんどん通信性能が上がってきているので、今後ますますおもしろくなってきそうです。期待しましょう。 (中川氏談)

VLCAの前身である、可視光通信コンソーシアム時代から、多くの企業の研究者たちと議論を交わし、「世の中の役に立つ」商品化に尽力されてきた中川先生。先生のお話から、世界中から多くの人が集まる2020年東京オリンピックまでには、「可視光通信」という言葉はわからなくとも、当たり前に社会で利用されているであろうシーンが目に浮かびました。 たくさんの含蓄あるお話を伺うことができ、カシケンも「教養」を身に付け、各界の専門家を繋ぐ役割を果たさねばと、襟を正す思いです。中川先生、またお話を聞かせてください! ありがとうございました。

シェアありがとうございます

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です


*

PAGE TOP ↑