東芝の高速可視光通信技術の秘密に迫る 株式会社東芝 インタビュー【Vol.1】
2014年12月 株式会社東芝は、CMOSイメージセンサーに可視光通信機能をリーズナブルに付加できる技術を開発、発表しました。スマホなどすでに一般に普及しているデバイスに搭載することで、可視光通信を可能にする技術です。いよいよコンシューマレベルで可視光通信が広がるきっかけに!? ということで、さっそく東芝に出向き、お話を伺ってまいりました(3回シリーズ) (右から:上野克彦様≪株式会社東芝 セミコンダクター&ストレージ社 技術マーケティング統括部 新市場開拓部 クラウド&スマートデバイス担当 参事≫ 堀崎耕司様≪同 半導体研究開発センター ワイヤレスシステム技術開発部 ワイヤレスシステム技術第四担当 無線技術開発主査≫ 瀬戸一郎様 ≪同センター ワイヤレスシステム技術開発部 ワイヤレスシステム技術第三担当 回路設計主幹≫ 左:寿田龍人 カシケン運営・聞き手)
●可視光通信と東芝の取り組み
東芝としては、古くから社会インフラとしての可視光通信について研究をしています。その中で、私たちは「セミコンダクター&ストレージ社」、つまり半導体の開発部隊です。通信のそのものではなく、可視光通信に使えるデバイスを作りそれをお客様に使っていただくという事業展開を考えています 元々弊社には、半導体のCMOSイメージセンサーがあります。これで可視光通信を可能にすることに着眼して、技術開発を進めています。可視光が市場に広がっていくためには、デバイスが実装される端末機器とインフラが繋がっていく必要があり、社会インフラ部門と情報交換をしながら研究開発を進めています。
●すでに市場にあるものに価値を加える
照明としてのLEDが普及し、データ送る側の「光源」環境ができつつある今、受信側はどうするのかと考えた時、可視光通信専用の新しい機器、ハードを用意するのはかなりハードルが高いと思います。もうすでに存在するものでやれることから始めることは、重要なアプローチです。そこで、かなり普及の進んだスマホなどについているカメラ機能の、CMOSイメージセンサーに着目したわけです。 今回発表した技術は、既存のイメージセンサーを大きく変更することなく、簡易な回路で組み込めます。大きさもほとんど変えることなくできますから、現在カメラ機能を持っているモノに対する付加機能として、有効な技術だと思います。
●高速化にチャレンジ
日経エレクトロニクスに書かれている通り、弊社が発表した技術は、任意の行を複数回リスキャンする技術をCMOSセンサーに実装したものです。デジタルスキャンで上から読んでいって、そのスキャンを繰り返すことで光源の情報を読み取る、という技術です。部分的にスキャンを繰り返すことで、数キロbpsの情報伝達速度を確保します。 端末に搭載される制限下での可視光通信は、情報量やスピードの点で、無線通信にかないません。無線が活かせる環境でコンピートすることは無意味と考えています。とはいえ、ある程度の通信速度を確保できなければ、なかなか商用化の道は開けません。 人間工学的に見て、人は2~3秒以下なら固定の動作でも待てるといわれています。逆にそれ以上長い時間、光源にカメラをかざす行動をとらせるのは難しいということでもあります。ですので、何かを受信するにしても、パっとかざしてキャッチできるレベルにするには、数キロbpsは必要だろうと考えました。 IDを送る程度の高速性を確保できる技術ですので、スマホだけでなくGoogle Glassのようなウェアラブルデバイス、車載カメラなどでの利用も期待しているところです。 (瀬戸氏・堀崎氏 談) 次回は、いよいよ今回発表された技術の核心部分について切り込みます!
インタビュー【Vol.2】
インタビュー【Vol.3】
畑山 勉様
お問い合わせありがとうございます。CMOSイメージセンサを可視光通信に応用する用途で最近流行っているのがスマホのカメラ+アプリ+クラウドの構成ですが、カメラ自体位置検出が可能なのでカメラが検出できる範囲内での特定検出などの用途が考えられます。これはカメラ(CMOSイメージセンサ)+アプリでの構成でクラウドは必ずしも必要ではないと思われます。
なおより詳しいお問い合わせはhttp://www.kashikou.jp/form/にいただければご対応させていただきます。