公開日: 最終更新日:2018/10/15

東芝の高速可視光通信技術の秘密に迫る 株式会社東芝 インタビュー【Vol.2】

CMOSイメージセンサーに可視光通信機能を付加する技術を発表した、株式会社東芝。前回は、すでに普及しているスマホなどのカメラを受信機として考えたこと、そして、ある程度の高速通信を実現する技術を開発された経緯について、お話を伺いました。今回は、その技術開発へのアプローチと、規格化の動きについてのお話です。 (3回シリーズ) IMG_0033

●可視光通信が普及するステップとは

先にお話したとおり、可視光での情報伝達量は、通信という側面でみれば、無線などに到底かないません。個人的な見解ではありますが、可視光通信は、情報を提供することをメインに考えるよりも、ローカルなところで特殊なIDなどをアプリケーションでやりとりするイメージかなと考えています。特に、可視光通信は「光」なので安全ですし、電磁波の使えないところでは有効です。 新しい通信技術の普及は一般的に、産業向けや特殊用途の応用から始まり、民生向け応用で公に市場が広がっていく流れが多いと考えています。普及についての意見はさまざまあるでしょうが、可視光の場合、産業向け等でもまだ広がっていないのが現状ですので、その中のクローズなところから、市場への浸透がスタートしていくことになるのではないでしょうか。 クローズなところでは、そこは当事者同士がOKであれば成立する世界なので、市場の入り口としては早期に参入しやすいと考えています。コンシューマ対象のオープンな世界に行くのは、やはりハードルが高い。なんだかわけがわからないものと思っているところに対して売り込んでいくのはハードルが高いです。最初はクローズなところで認知させていくステップが必要です。 弊社では、そうした意味からも特に高速化を狙っているわけではありません。クローズなところでIDレベルの情報を送ることができれば応用は広がると考えて、数キロビットを目指しました。 IMG_0032

 ●デコードに隠された秘密と規格化への道

約143万画素のCMOSセンサー(試作品)を作りましたが、技術的なポテンシャルから見れば、画素数や画素ピッチに制約を受けることはありません。その秘密ですか? あまり詳しくは言えませんが・・・(笑) ハードとソフトの部分がありまして、メインはソフトのところに負うんです。ソフトの処理が軽くなるようにハードを追加しているという位置づけですね。ハードはそんなに重くないです。ハードの部分だけですべてやっているわけではなくて、基本はカメラの情報がすべてホスト側に行ってそこで処理される部分が多いので、ソフトデコードを全部ソフトでやろうとすると重くなってしまうので、その部分をいくつかはハードで補助する、という考え方です。 サイズを判定して、そのサイズをリスキャンしますので、光として、画像として見えていればあとはなんとかするポテンシャルがある、一画面全部が光源でも、光る部分が1ピクセルでも受けられるのは受けられます、そこをリスキャンすれば通信のdetectはできます。ただ、技術的には制約はないのですが、エンジニアリング的には適切な光源をターゲットに調整したいというのは、正直言えばありますね。 可視光通信に関しては、長い時間にわたり研究されていますが、規格の面ではまだまだです。弊社も、今回の技術を国際標準規格に盛り込もうと、動いていることは事実です。これは弊社が発起したわけではありませんが、現在、「IEEE 802.15.7r1」という会議に参加して、議論を重ねているところです。 IMG_0039 (http://grouper.ieee.org/groups/802/15/arc/802-wpanlist/msg02181.html参照)(瀬戸氏・堀崎氏 談)

次回は、今後の普及分野、可視光通信の将来について、引き続きお話を伺います。
インタビュー【Vol.1】
インタビュー【Vol.3】

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