世界初!可視光通信の国際会議&展示会「International Conference and Exhibition on Visible Light Communications (ICEVLC)2015」レポートVol.1
2015年10月25日~26日、慶應義塾大学日吉キャンパスにおいて、一般社団法人 可視光通信協会(VLCA)が主催する「International Conference and Exhibition on Visible Light Communications(ICEVLC)2015(可視光通信国際会議・展示会2015)」が開催されました。「可視光通信」技術に特化した研究発表や情報交換の場となる、世界で初めての国際会議&展示会を、日本のVLCAが主催したことは、大変意義あることだと思います。国際会議では欧米アジアから100名近くの研究者、技術者が参加し、熱心な議論が交わされました。
イメージセンサー活用の可能性
可視光通信といえばこの方。中川正雄先生(可視光通信協会理事・慶應義塾大学名誉教授)のWelcome Messageを皮切りに、後援の総務省からは技術政策課長の野崎雅稔氏より、祝辞とこの分野に関する国としてのサポートについて報告がありました。 続くテクニカルセッション1では、名古屋大学の山里敬也教授の進行で、Image Sensor Communicationをテーマに、日本の大学、企業から4件の発表がありました。可視光通信ではCMOSイメージセンサー活用に注目が高まっていますが、LED特有のフリッカ対策の技術や、LEDのヘッドライトを利用したトラッキングシステム、LEDを活用してのスポーツジムなどにおける心拍数監視装置技術など、興味深い研究内容が報告されました。 “Improvement of Symbol Rate and Flicker-Free Performance of LED Visible Light Communication with Low-Frame-Rate CMOS Camera” Wataru Chujo, Meijo University, Japan “Additional Bit Transmission Using Space Modulation in Layered Space Time Coded Visible Light Communications” Koji Kamakura, Chiba Institute of Technology , Japan “Tracking of LED headlights considering NLOS(Non-Line Of Sight) for an image sensor based V2I-VLC” Yuta Kawai, Nagoya University, , Japan “Heart Rate Measurement Based on Event Timing Coding Observed by Video Camera” Takashi G Sato, NTT Communication Science Laboratories, Japan
テクニカルセッション2では、早稲田大学名誉教授の松本充司先生の進行により、可視光通信の変調方式をテーマに、海外からの研究成果の発表が進められました。 “Analysis of Op Amp Based Transimpedance Photo Receivers: A Comprehensive Practical Approach” Karel L. Sterckx, Bangkok University, Thailand “Experimental demonstration of high-speed WDM VLC(Wavelength Division Multiplexing,Visible Light Communication) systems employing high-order CAP(Carrierless Amplitude and Phase) modulation” Mengjie Zhang,Fudan University, China “Color-Shift-Keying Constellation-Design Case Studies” Kainam Thomas Wong, Hong Kong Polytechnic University, Hong Kong “A new image sensor communication system using Color Shift Keying” Atsuya Yokoi, Samsung R&D Institute Japan
世界各国の大学研究機関や企業による、実用化に向けての具体的な課題解決の研究事例が発表され、熱心な質疑応答もあり、非常に活気のあるセッションが展開されていました。
可視光通信研究のキーパーソンによるパネルディスカッション
午後には、アメリカからはインテルのRichard D. Roberts氏、そして日本からはカシオ計算機の飯塚宣男氏による招待講演、そして韓国国民大学校のYeong Min Jang教授からは、IEEEにおける可視光通信に関する現況が報告されました。
国際会議の最後には、VLCA会長で慶應義塾大学大学院教授の春山真一郎先生がモデレータとなり、パネリストにYeong Min Jang教授、フランフォーファーHHIのFahim Nawabi氏、インテルのRichard D. Roberts氏、カシオ計算機の飯塚宣男氏を迎え、“Image Sensor Communication and High Speed Visible Light Communication” をテーマに、可視光通信におけるImage Sensor Communicationの可能性と、高速化に向けた取り組みについての意見が交わされました。 ここ数年、世界的にスマートフォンの普及が広がり、可視光通信の受光器として必要な要素を兼ね備えたツールが一般に存在する状況になりました。そこで、一般的なカメラレートである「30フレーム/秒」でどれだけ多くの情報量を送信できるか、通信速度についてどこまで何を追及していくのか、といった現実的な研究が各国で進められていることが伺えました。 ただ、パネリストたちの技術的な話の中では、スマートフォンのカメラが主流の受け側の話に終始し、送り側の話がほとんどありませんでした。普及という意味では、利用用途の拡大についての話題、特に各国の公共インフラ等にどう貢献するかなどの話も期待したのですが、残念ながらそこまで話が及びませんでした。可視光通信が単なる通信技術ではなく、国をあげて注目している通信技術であることをアピールできる機会でもあり、一般の生活の中にどのように組み込まれるのかがイメージできると、可視光通信の普及に拍車がかかったと思います。 ICEVLC2015のプログラムは以下からDLできます。
http://vlca.jp/wp/wp-content/uploads/2015/10/ICEVLC2015AdPJ2.pdf
次回は、併設された可視光通信に関する展示会のレポートです。お楽しみに!
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