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TOKYO2020 無線環境はどうなってしまうのか?

競技場

気が付いたらあっという間に来年のこと。2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックの話題が、毎日のように私たちの目に耳に入ってくるようになりました。公式ウェブサイト tokyo2020.org にも続々といろいろな情報が公開され、いよいよ入場券販売のお知らせなども始まり、嫌が応にも関心が高まってきましたね。

2019年2月1日には、大会関係者用の無線機器申請受付も始まりました。今回は、この申請書を読んだ感想です。カシケン的視点から思うところを記してみます。

大会関係者用無線機器周波数 申請受付開始

大会関係者用無線機器周波数申請受付を開始しました

詳細は上記の公式ウェブサイトから、周波数申請ガイドをご覧になっていただきたいのですが・・・。これを一読して、むむむ・・・と思ったのは、可視光通信など無線通信に関わっているがゆえでしょうか? 問題だと感じることが多くて、なかなかの驚きです。

簡単にいえば、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(以後、東京2020組織委員会)が、ベニュー(大会開催場所・会場の意)に持ち込まれる無線機器の周波数帯域を、すべて取り仕切るという話です。国内で無線の免許を持っていても、ベニュー内では申請が必要です。

カシケンでも再三記事にしている通り、今、日本の電波無線の周波帯域は枯渇といってよい状況にあります。その限定された周波帯域を、限定されたベニューにおいて、東京2020組織委員会が各国のスタッフ、メディアなどに振り分けるというわけですね。

(余談ですが、「ベニュー」の意味がわからず、思わずGoogle先生にお尋ねしました。この言葉は、国際社会では普通なのでしょうか?)

競技場がケーブルだらけに?

もちろん、混信することなくすべてのメディアが正常に運用できるように交通整理することはとても大変だと想像がつきます。それゆえにいたしかたない処置と理解はできますが、引っかかりを感じるのはここ。

●1つの申請につき、1つの周波帯域が割り当てられるので、複数の周波帯域が必要であれば複数の申請が必要。
●サーバルームで使えないのは当たり前としても、会場では技適マーク(※注)が付いている携帯電話以外の無線機器は、ベニュー内でも規制がかかる場所があるようです。
●電波の出力強化や、画像・動画の転送に使うトランスミッターも事前に申請が必要で、出力は1W以下に規制されています(アマチュア無線でも規制は10W以下なのに・・・)。
●なんと、「可能な限り有線での送受信を推奨」しています。競技場をケーブルだらけにすることを推奨するような記述が書かれていて、「え?いまどき??」 と驚きを禁じ得ません。

※注)技適マーク(ぎてきマーク)とは、技術基準適合証明と技術基準適合認定のいずれか、あるいは両者の認証がなされていることを表示するマークで、総務省令に定められたものである。ーウィキペディアより引用

東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会周波数管理計画

東京五輪では無線が自由に使えない?

無線イメージ

無線が自由に使えない東京2020。なんと嘆かわしいことでしょうか。帯域や電波障害の心配からこうなっているのなら、「可視光通信、LED無線通信なら解決できますよ!」と、カシケンは叫びたい衝動にかられているわけです。

カシケンは、可視光通信や近赤外線通信に携わり高スループットで低遅延を実現しているメーカーを知っています。そうした企業の皆さんは、もっとアピールをしてもいいのではないでしょうか? いや、今、このタイミングを逃してはアウトですよ!「いつアピールするの? 今でしょ!」です。日本には、凄い技術があるのです。それを全世界の方々に気付いていただき持ち帰ってもらえば、そこからまた、日本発信の技術や日本初のマテリアルが生まれる可能性があるのですから。ITテクノロジーの環境が後退するように見える今回の措置。無線通信に関して、日本には素晴らしい技術があるのだから胸を張りたいと、カシケンは思うのです。

いろいろと思うところの多い東京オリンピック・パラリンピックですが、やはりここはみんなで盛り上げていって、やるからには成功させましょう!
カシケンももちろんその気持ちは強く持っていますので、誤解なさいませんように。

 

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