公開日: 最終更新日:2019/04/08

子ども達の「ふしぎ!?」の秘密は、可視光通信にあり

静岡科学館ポスター

静岡市にある「静岡科学館る・く・る」が、3月21日に開館15周年を迎え、光と音をテーマにした展示物が新設されました。新たな展示品の中でも、可視光通信を用いた「もしもしライト」が子ども達の人気になっているとの情報を得て、さっそく現地に飛びました!

いつもいっしょ、「ふしぎ」といっしょ!

静岡科学館る・く・る

静岡市文化振興財団が運営する「静岡科学館る・く・る」は、「みる」「きく」「さわる」をキーワードに、発見する喜びと創造する楽しさにあふれる科学館。子ども達も春休みに入ったばかりで、JR静岡駅前にある「静岡科学館る・く・る」の館内は、ちびっこたちの笑顔と歓声が桜のごとく満開でした。

「休みの時期には、1日に1,500人程の来場者があります」と笑顔で教えてくださったのは、科学館次長の谷俊雄氏。小学校3〜4年生が主体で、学童やBOP(=Base Of Playing:遊びの基地=放課後の自由な遊び場)に通っている子や保護者、そしておじいちゃん、おばあちゃんに連れられた子ども達がやってきます。春休みの今も、子ども達でいっぱいでした。科学の入り口のふしぎをいかに面白く興味を持ってもらえるかを企画・展示されている、静岡科学館の成功が見えてきます。

光と音のテーマで行き着いたのは「可視光通信」

15周年記念として新設された3つの展示物は、「光」と「音」がテーマです。

ドラムでドンドン

ひとつは、ドラムをたたくことで水面がどう変わるか? ふしぎな波の世界を体験しながら、音で波の性質を知る「ドラムでドンドン」。

ぴょんぴょんチャンピオン

もう1つが、タワーのてっぺんや宇宙までジャンプ! ジャンプしている間に音や光の速さではどれくらい遠くまで行けるか、音や光が伝わる距離と時間の関係を体感する「ぴょんぴょんチャンピオン」。

そして、3つ目の展示物「もしもしライト」が、本日の記事の主人公。ここに可視光通信が利用されています。

もしもしライト

これは、8mほど距離の離れた両端に赤と緑のLEDとスピーカーが搭載された装置を設置し、その上にフォトダイオードを搭載した星印のマトを置いて、そこにお互いの光を当てて話をすると相手の声が聞こえる、という仕掛け。

もしもしライトdemo

子ども達が「線でつながっているのではないか?」と思うところを、光で無線通信していることがわかるよう見せるのに苦労した、とおっしゃる谷次長。ここに「見える光=可視光」を使って、光で通信できる原理を見せているところがミソです。

見学していると、子ども達はお互いが星印のマトに光を当てれば通話ができることを発見して、歓声をあげていました。展示物の中でも「ふしぎ」度が高いせいか、常に「実験したい」子ども達で大盛況。可視光通信を担当する者として喜ばしい限りの風景でした。

説明書きがほとんどない!

それぞれの展示物の横には、何をどうするなどの説明書きはほとんどありません。直感的に展示物に触れることから原理に達すること、子どもたちが体験を通じて原理を自ら発見することを狙っているのだそうです。展示物に自由勝手に触ってもらう中でふしぎを発見し、それは何故? どうなっているの?と自由に考える流れを大事にしたい・・・。それだけに、展示物は自由に触っても壊れにくいように、とても頑丈に作ってあるそうです。

ただし、可視光通信は多少説明がないとやはり難解なところがあるとのことで、子ども達にも理解できるよう、わかりやすい解説パネルが用意されていました。

もしもしライトのひみつ

来場者は、静岡市内からはもちろんですが、約3分の2は静岡市外、神奈川、山梨、愛知などの他県からの来訪者だといいます。それだけ「静岡科学館る・く・る」は、多くの子ども達にとって楽しい場所として人気の科学館なのでしょう。

様々な企画を提示しながらも、採用される企画はごく少数といいます。子ども達の柔らかい心に響く楽しい企画のなかに、可視光通信が使われていたことには、感動しました。科学館で、「LEDで無線通信ができる」ことを知る子ども達をきっかけに、可視光通信技術がさらに広がって欲しいものです。

谷次長

これからも「静岡科学館る・く・る」が、ふしぎを楽しむ子ども達のための刺激的な施設であってほしいと切に願いつつ、帰路につきました。とてもすばらしい体験をさせていただきました。

取材にご協力いただいた谷次長に、感謝します。ありがとうございました。

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