鉄道技術展での可視光通信
鉄道関連の機材やシステムなどの総合展「第4回鉄道技術展」(主催・フジサンケイビジネスアイ)が11月11〜13日幕張メッセで開かれ、可視光通信の利用用途も紹介されました。
世界最高水準の日本の最新技術がここに集結
1分単位で運行されている首都圏の鉄道網。これは日本の誇れる技術であり文化です。世界に驚嘆を与え続ける“クールジャパン”で、常に引き合いに出されるアニメコンテンツや、再生医療などのライフサイエンスと肩を並べる技術と言ってよいでしょう。 今回の鉄道技術展には、台湾やドイツからの参加も含め、450の企業や団体の出展があり、連日大勢の見学者が集まりました。 展示された技術は、電車に無くてはならないナット類、車両や線路の材質、安全で便利なホームの機材、正確な無人改札、運行システムなどなど。全てにおいて、改めて日本の凄さ、技術力の高さを再認識させられる盛りだくさんの内容でした。 普段ホームで何気なく耳にしている発車メロディーを作っている会社は、知る人ぞ知る、あのカシオペアの向谷実さんが代表を務める、株式会社音楽館。 運行訓練に無くてはならない“運行シュミレーター”を展示していたのは、VRの技術でもおなじみの、株式会社フォーラムエイト。この企業とは、可視光通信での屋内測位検索技術なども手掛けていて、カシケンも情報交換をさせていただいています。 本当にさまざまな企業が、そして思いがけない人たちが、鉄道業界を支えているのだなぁ、と感心しながら展示を見て回りました。
システムやサービスに提案される可視光通信技術
電車の車側灯や、押しボタン信号機を作っているメーカーである不二電機工業株式会社は、可視光通信の指向性やIDを応用して、運行管理や車両格納管理の提案デモを行っていました。同社は可視光通信協会にも所属しており、可視光通信技術を積極的に取り入れて、可能性をかたちにすべく、日夜研究開発に努めている企業です。
鉄道システムが多数展示される中で、パナソニックは光IDソリューションを展示していました。以前カシケンでも、店舗でのショッピング詳細情報配信を取り上げ、この技術のことをご紹介しました。(※)以前より通信速度が速くなり128bpsを実現しているそうです。東京ビックサイトにおける、デジタルサイネージでのインフォメーションサービスも目前。まもなく体験できるでしょう。 2020年のオリンピックに向けて不可欠な翻訳サービスも、多くの企業が展示していました。可視光通信を使っての翻訳サービスもあり、案内看板などでの利用用途が提案されていました。
指向性やトンネル内での通信に適している可視光通信の可能性は、特に鉄道の世界ではその用途がまだまだあると期待しています。
社会インフラ構造物のモニタリング・維持管理
社会インフラは1964年の東京オリンピックに焦点を合わせたものが未だに残っており、老朽化への対応や維持管理が急務です。20年後の2035年頃には、構造物の70%が建設後50年を超える、超高齢化時代を迎えます。とはいえ、50年を超えてすぐに寿命が来るわけではありません。経年ともに劣化する社会インフラの安全性を、いかに維持管理していくかが重要になるわけです。 人の目と手を使い、勘と経験の職人芸で行われていた分野も、いまやロボットやセンサーにどんどん置きかえられています。吸い上げられたリアルタイムなデータをいかに活用するかが、問題解決のカギとなるでしょう。まさにIoTです。そこには通信機能が不可欠で、可視光通信の利用用途もたくさんあるはず。この分野での開発にも、期待を感じさせる展示会でした。
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