公開日: 最終更新日:2019/01/31

「第3回スマート工場EXPO」屋内位置測位技術にpicalico登場!

スマート工場EXPO2019

2019年1月16日(水)~18日(金)の3日間、東京国際展示場(東京ビックサイト)で、IoTとFAに関連する様々な展示会が開催されました。「第3回スマート工場EXPO」「第3回ロボデックス」「第5回ウェアラブルEXPOです。ウェアラブルやロボット、FA関連の技術が一堂に会し、世界最大規模の商談会として今年も多くの来場者を集めていました。

14社が終結した「IoT×屋内測位パビリオン」

スマート工場EXPO2019

今年の「スマート工場 EXPO」には、230社が出展。スマート工場は、工場内の自動化促進と、あらゆる機器や設備をIoT化することで、製造、生産現場に革新をもたらす次世代型のファクトリースタイルです。製造業の空洞化に加えて人材不足というダブルの危機的状況に見舞われている日本では、避けて通れない製造や物流現場のスマート化。年々、より具体性を帯びたソリューションが提案されていると感じます。

そんな中でカシケンが今年注目したのが、「IoT×屋内測位パビリオン」です。

IoT×屋内測位パビリオン

屋内測位に関する14社が集まり、測位技術、可視化技術、それらを可能にするデバイスや製品などの最先端情報を、一気に紹介しようという試みです。工場内における位置情報の把握は、仕事の動きを可視化することで、生産現場の効率化や働き手への負担の軽減に寄与すると期待されています。各社がデモ機を持ちこみ、セミナーを開催するなど、よりわかりやすい提案に腐心している様子が見られました。

電波を使わず位置情報を正確に検知

カシオ計算機ピカリコ

FAにおける可視光通信の活用事例としては、カシオ計算機のpicalico(ピカリコ)による、カメラとLEDを使った室内位置・情報検知システムや、工場設備・工作機器の稼動情報収集システムがあります。今回はそのピカリコが出展。3D動線分析システムで高い導入実績を誇るRaFLOWなどとの連携による、作業動態分析ソリューションが提案されました。

ピカリコは、カメラを受信機に、LED発光装置を送信機にして、LEDの色の変化パターンで情報を伝える可視光通信技術です。電波を使用できない場所での通信手段として、数年前から工場内での位置検知用途に使われるようになりました。三角測量方式(X,Y,Z軸)でLED送信機の3次元位置を測ります。時速15km程度の動体でも測れるのが特徴で、例えば工場内を動くフォークリフトなどに設置して、その位置情報をリアルタイムに把握することも可能です。

Picalicoを使用した屋内位置・検知システム

ピカリコ

工場内のマッピングソリューションを提案する企業は数多くありますが、そのほとんどはWi-Fi測位、Bluetoothビーコンによる測位など、電波を使った無線あるいは有線での通信が前提です。

昨年のスマート工場EXPOでもこの点に不満があったカシケンでは、つながる工場における通信手段として、そろそろ可視光通信が登場してもおかしくない!と提唱しましたが、カシオ計算機のピカリコが、位置測位ソリューションの重要な役割を担い、先陣を切ってくれました。

●Picalico 現場動作事例(動画解説)

https://youtu.be/qladeXtztns

可視光通信は、機器同士の電波干渉を嫌う場所やトンネルなどの電波障害のある場所、さらには水中など電波では通信ができないところに対して優位性があります。工場内に新たに配線を通す必要もありません。

動体でも測定が可能になったことから、自律性のロボット同様、メッシュなど位置検知のための設備も不要です。トンネルや工場の既存環境を変える必要がなく、導入後も工場内のレイアウト変更に左右されないことなどから考えると、導入しやすいシステムとしてのウリも見逃せません。

カシオ計算機取材

測位系のソフトウェアとの親和性が高く、位置情報を正確に取る手段として、今までにない通信方法が選択肢に加わったことにより、従来の無線や有線では導入できなかった業種、業態へのアプローチが可能になったことから、この分野への可視光通信の可能性が広がりそうです。

しかし、展示会全体を見た時、特にセキュリティに関する対応は、まだまだの感が否めませんでした。

工場がオフラインであればまだリスクは小さいものの、クラウドにつなげたり、工場間をつないだりすれば、サイバー攻撃の脅威は工場内にも波及します。必要な時にのみつなげたい場合もあります。

自らの意図で見える光に対して受信機をかざし、セキュアに通信できることも可視光通信ならではの特長。スマート工場にこそ活かせる場があると、改めて感じました。

多彩だが目玉に欠けるロボデックス、ウエアラブル

ウェアラブルEXPO

併設展示の「第3回ロボデックス」は、産業ロボットやドローンはもちろん、ロボット社会の実現を促進するあらゆる開発技術や活用法が一堂に会する展示会です。220社が出展し、今年もドローンや自律性運搬ロボット、製造ロボット、おもてなし系ロボット、介護サポート系ロボットが多数展示されました。

また、170社が出展した「第5回ウェアラブルEXPO」は、最新のウェアラブル端末から、活用ソリューション、AR/VR技術、デバイス開発のための部品・材料まで、ウェアラブルに関する技術やソリューションが集結。こちらも多数の来場者でにぎわっていましたが、歩きまわりながらもふと、「海外からの来場が少ないのでは?」と感じました。最終日の午後に出向いたからかもしれませんが、昨年までは日本語以上に海外の言語が会場内を飛び交っていた印象が強かったので、少し風向きが変わったのかな?と感じたのです。

加えて、一昨年のスマートグラスやApple Watchに代表されるスマートウォッチ、昨年のドローン、といったような「目玉製品」も少なかったように思えます。ぜひとも現物をこの目で見たい!と思わせるような、話題をけん引するアイテムが、これといってなかったなぁというのが率直な感想でした。

あいかわらずマーケットインでの提案が少なく、提案されるのは圧倒的にプロダクトアウト発想の技術。このあたりが、コンシューマ向けのCESとの熱量の違いとなって表れているのではないかと思いました。優秀な日本の技術が活きるためには、マーケットインの発想で活用されるような仕組みこそが、必要なのではないかと実感した展示会でした。

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