Inter BEE2014にみる、近未来の放送サービスと可視光通信 前編
国内外のトップレベルの放送関連機材を一堂に集め、ひろく放送関係者を対象に、国際的な技術交流と広範な需要開拓の場としてビジネスチャンスを提供するInterBEE。2014年も11月19日~21日の3日間、幕張メッセで開催されました。今年の出展の目玉とも言える4K、8Kテレビと、4K画像データの通信に成功した可視光通信の可能性について、感触を探ってきました。
4K、8Kと2020年東京オリンピック
今回の目玉は、間違いなく4K、8Kです。テレビもカメラも4K、8K。業界の流れとしては、2020年の東京オリンピックを想定して、スケジュールが組まれています。2016年には、BSで4K、8Kの試験放送が開始され、2018年にはBSで実用放送を始めるスケジュールで動いているようです。 NHKではそこに、ハイブリッドキャストというインターネットを使った通信サービスと放送をミックスさせたサービスも提供し始めています。テレビがパソコンになり、パソコンがテレビになる・・・。要するに、テレビも観られるしYoutubeも楽しめる。そして、興味のあるものをその場で検索し、購入できる。音声入力もキーボード入力も可能。本来一方通行であるはずの放送が、インタラクティブかつフレキシブルになっていきつつあるのです。 NHKでは、CEATEC JAPAN 2014において、4Kカメラでの水中での撮影を可視光通信で行う検証実験が成功したと発表しました。「ダーウィンが来た!」をはじめとするドラマ、ドキュメンタリーで、4Kコンテンツの制作を進めていることも表明しています。 しかし展示会場を歩いていると、疑問が生じてきました。なぜ、4K、8Kが同時に試験放送を始めるのでしょうか?
テレビはどこに向かおうとしているのか?
現在主流のフルハイビジョンTVは、おおよそ2Kですが、次は当然4Kかと思いますよね? 4Kのみならず8Kを同時に開始するのは、どのような意味があるのか? 4Kの立場が無くなってしまうのでは? と心配するのは余計なお世話でしょうか? もう少し調べないといけません。さらに、NHKと民放では目指すところ、方向性が違う気がしました。 世界に誇れる8Kの技術ということで、NHKが必至に宣伝しているのですから、それならそれはそれで業界あげて、いや、エンコード、デコーダチップのようなシステムLSIを開発する半導体業界も含めて、諸外国に先駆けてALL JAPANでPRして推進していかなければ、隣国に先を越されてしまうのではないか・・・と思いました。 それと、コンテンツについてもまだまだ工夫しなければ需要に結びつかないのではないかと感じます。たいていのご家庭では、薄型テレビに買い替えたばかりのタイミングです。せっかく薄型のテレビを買ったのに、単に高画質というだけで4K、8Kテレビに買い替えるモチベーションとなるでしょうか? ハイブリッドキャストにしても、CATVを契約しているご家庭では、セット トップ ボックス(STB)が進化すればそれでいいんじゃないの? という気がします。 4K、8K テレビが、3Dテレビの時のような運命にだけはなって欲しくありません。2020年に照準があっているのか、今後の試験放送の行方を注目しておきたいと思います。
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