拡大する可視光通信の役割 ~CEATEC JAPAN 2017レポート~
2017年10月3日~10月6日まで幕張メッセにて、日本最大のエレクトロニクスショーであるCEATEC JAPANが今年も盛大に開催されました。可視光通信の展示メーカーも大変賑わっていました。その様子をさっそくレポートします。
この記事の目次
脱・家電見本市を宣言した今年のCEATEC JAPANの実態は?
昨年、脱・家電見本市を宣言したCEATEC JAPAN。会場となった幕張メッセは、今までとまったく雰囲気が違いました。未来を見据えたCPS/IoTの総合展示会を目指していることが伺えるラインナップで、見どころ満載の展示でした。
今回の展示では、どのメーカーも生活・社会システムとサービスをテーマにした便利な提案をメインにしていました。ロボットも多種多様。介護に関しても、健康管理も、セキュリティーもなにもかもに、素晴らしいテクノロジーが導入された製品が展示、提案されています。
しかし「最先端こそ使いやすい!」そんな感覚を素直に持つことができる展示会かといえば、どうでしょうか? テクノロジー満載の製品を見ながら、老若男女すべてが対象となって開発されているのかどうか、日本が目指す未来のビジョンである「society5.0(注)」の具現化という点では、どこまで実現できているのだろうか、そんなことをふと疑問に思ってしまった取材班でした。
※注)内閣府が提唱する「Society5.0」とは、狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続く、以下のような新たな経済社会をいう。①サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させることにより、② 地域、年齢、性別、言語等による格差なく、多様なニーズ、潜在的なニーズにきめ細かに対応したモノやサービスを提供することで経済的発展と社会的課題の解決を両立し、③ 人々が快適で活力に満ちた質の高い生活を送ることのできる、人間中心の社会。
参照:Society 5.0実現に向けて 内閣府総合科学技術・イノベーション会議 久間 和生
いきなりのLinkRay。そしてPanasonicブースでの扱い
まず、正面の会場案内、そしてCEATEC AWARD 2017の看板。それぞれ表示は光ID付きのスポットライトで照らされています。そして、LinkRayアプリを通じて自分のスマホをライトにかざすと詳細情報が呼び出され、画面上で情報を見られるようになっています。会場のレイアウトなどは、わざわざ大きな会場図を広げなくてもスマホで見られます。CEATEC AWARDの製品の詳細も、URLを持ち帰ることができるので、後から確認することも可能です。
LinkRay を提供するPanasonicブースでは、μSocketと題してIoTサーブスソリューションを前面に出していました。そして、今までは必ずといっていいほど目立つように展示されていたLinkRayコーナーは、ブース内のどこにも見当たりません。
しかし、よくよく見るとありました、ありました!
店舗関連のエリアに2つの使い方のLinkRayが紹介されるコーナーがあり、ここに多くの人が集まっています。1つは、LinkRayとARの融合です。パンの在庫を店員さんが一目で見られるようにする提案です。
もう1つは、LinkRayに動画を融合させたものです。
オーブンレンジの説明文にスマホをかざすと、使い方を開設した動画をスマホ上で見ることができます。PanasonicはLinkRayの用途、利用シーンを確実に開拓していることが伺えました。
高速可視光通信の分野では太陽誘電と東洋電機
太陽誘電と東洋電機はお互いのブースの様子を可視光通信でつなぎ、4K画像を配信してモニターに写し出すデモンストレーションを行っていました。
太陽誘電ブースでは、可視光通信から赤外線通信に変更して、天候の変化にも強い通信の実現をアピールしています。従来、可視光通信は雨や雪、霧といった天候の変化に問題があり、屋外での使用に課題を残していましたが、これが実現すると利用用途の広がりに期待が持てます。
東洋電機は、以前のCEATECでも展示していた青色LEDによる水中可視光通信に、今回は非接触給電及び通信をデモンストレーションして見せてくれました。
また、超高速無線通信を実現するためにレーザーを使っていて、「MAGIC BEAM」と称して実演をしていました。
こちらに関しての今後の課題は、自動焦点合わせでしょう。
CPS/IoTの総合展示会での通信としての可視光通信
今回のCEATEC JAPANにおけるテーマ「CPS/IoTの総合展示会」においても、可視光通信は色々な形で登場しています。光が通信手段になり得ることも、来場者にはずいぶん浸透してきました。黎明期からやっと成長期の門を叩いたと思える現象を目の当たりにしました。来場者も電波での無線通信の弊害、限界を身近に感じていることでしょう。
これをスタートに、ますます可視光通信の革新的な、そして誰にでもわかる使えるアプリケーションが生まれることをカシケンは期待しています。
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