公開日: 最終更新日:2020/05/12

可視光通信に関わる規格について

可視光通信が世の中に普及すると、通信機器同士の干渉や、既存の赤外線機器等への影響が懸念されてきます。これを避けるためには、規格化が必要です。可視光通信に関わる規格にはどんなものがあるでしょうか?

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日本の規格のJEITA CP-1221,CP-1222,CP-1223の違いと国際標準化への動きは?

日本の規格には現在JEITA(一般社団法人電子情報技術産業協会)の定める規格が現在は3つあります。 まず、2007年3月に可視光を使ったデータ通信技術に対して、お互いの通信機器の干渉や既存の赤外線機器等への影響などの混乱を避けるため、最低限の指針の規定が作られました。これがJEITA CP-1221です。ここでいう最低限の指針の適用範囲とは、物理層の中の発光素子・受光素子及びそれらと自由空間とインターフェースを含む部分のみです。アプリケーション及び上位層は別途定めるということで本当に基本の部分の規格だけで、これから先、可視光通信の技術で何を実現するのかという開発が進んで行く中で、徐々に決めていくという事です。

続いて同年6月には可視光IDシステムの規格化を発表しました。これがJEITA CP-1222です。可視光通信に簡単な情報や固有のIDを乗せて物の識別や位置情報を行う考えが可視光IDシステムで、今後鉄道や車の交通管理や各種の案内システムなどに応用が期待されています。しかし現在は片方向4.8kbpsという低速域の通信速度に対してのものです。

また、そこから6年後、LED照明が普及し始めた2013年6月には、可視光の光源にデジタル化された簡単な情報や固有のIDを乗せて送信させることで、物の識別や位置情報などがわかるIEEE1222を修正した、可視光通信でのビーコンシステムが規格化されました。これがJEITA CP-1223です。

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そしてJEITA CP-1223は国際標準化をめざしてIEC(国際電気標準会議)に提案され、可視光ビーコンシステムの標準化活動が正式にスタートしました。この活動には、一般社団法人可視光通信協会の春山真一郎会長が主査となり、貢献されています。 一方、アメリカ合衆国では、IEEEにおいては802.15.7として物理層やメディアアクセス制御層を規定した規格が制定されました。現在はイメージセンサーを使った可視光通信規格をSG(スタディーグループ)からTG(タスク・グループ)に格上げをしてIEEE802.15TG7r-1として日本企業も交えて策定作業中です。

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可視光通信は放送・通信手段ですから、放送通信の規格を守ることや赤外線通信への影響を考えると、ARIB(一般社団法人電波産業界)の標準規格やIrDA(赤外線でのデータ通信を規格化している団体)との連携も必要です。ARIBではSTD-T50 4.0版で下り可視光・上り赤外を用いた光LAN(赤外LANの可視光拡張)があり、IrDAでは「可視光通信標準規格』1.0版で、IrDAの可視光通信拡張及び赤外線通信と可視光通信の相互性確保規格が制定されています。今後の普及が期待されている可視光通信が、安全かつ安心して利用できるように明確な規格の整備が、現在も進んでいるのです。

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