可視光通信とは何か?原理とLEDについて~可視光通信・IoT旬なワード~
2014年、青色LEDの発明と開発の功績により、3人の日本人科学者がノーベル物理学賞を受賞しました。青色LEDの開発により、LED照明がどんどん普及し、それに伴い可視光通信にもスポットライトが当たるようになりました。なぜ可視光通信=LEDなのか。可視光通信の原理について解説します。
この記事の目次
可視光通信の原理
「可視光通信」が、「LED照明」の普及にけん引されて注目を浴びてきたのはなぜでしょうか?
一般的に照明として使われているもののうち、現在、多くのご家庭や職場にあるのは、「白熱電球」や「蛍光灯」でしょう。「白熱電球」は、フィラメントが熱を出すことにより光がつきます。「蛍光灯」は、放電で発生する紫外線を蛍光体に当てて、可視光線に変換されて光になります。
可視光通信は、“高速に点滅する力”を持つ可視光素子を、人の目には感じられない程高速に点滅させることでデータを送信する技術です。その観点から見ると、「白熱電球」は高速点滅させられないことから、通信には向きません。「蛍光灯」は、関東と関西の周波数制限により50Hzと60Hzのものがありますが、要するに、1秒間に50回または60回の「オン」「オフ」を繰り返して点滅します。これは1秒間に50~60bitのデータを転送するということになり(50~60bps)、M(メガ)、T(テラ)の時代である現在では使い物にならないほど小さな転送能力です。
LED照明の普及で期待される可視光通信
そこで期待されるのが「LED照明」です。 LEDは、通常電気を流すと点灯しているように見えますが、実は人間の目に見えないくらい高速な点減(「オン」と「オフ」)を繰り返しています。すなわち「0」と「1」を繰り返すことで「光」を出現させているのです。その速さは1秒間に数百万回、すなわち数Mbps。 50~60bpsの転送力の「蛍光灯」と比較すると、「LED照明」は桁違いの転送力を持ちます。 LEDを使って、数Mbps転送する・・・。これが「可視光通信の原理」と言えるでしょう。現在は100Mbpsまで可能となっていますし、プレゼン用のレーザーポインターなどを利用した場合には、数Tbpsまでの転送を可能にしたという事例もあります。
青色LEDの出現で、街中の照明も一気にLED化が進んでいます。これはすなわち、可視光通信のインフラがどんどんできあがっていることでもあります。そのため、可視光通信の可能性に、注目が集まるようになったのです。
※この記事は2014年12月29日の記事に加筆し、更新したものです
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