可視光通信ワークショップ(VLCWS2016)開催
2016年11月30日~12月1日の2日間、一般社団法人 可視光通信協会(VLCA)が主催する「可視光通信ワークショップ(VLCWS2016)」が、慶應義塾大学日吉キャンパスにて開催されました。
キーノート・スピーチとチュートリアル講演
キーノート・スピーチは、可視光通信協会(VLCA)会長の中川正雄先生(慶應義塾大学名誉教授)による「可視光通信・光無線通信」でスタートしました。続いて、現在国をあげて可視光通信産業に力を入れているITRI (台湾工業技術研究院〉より、「ITRI Visible Light Communication Status and Trends」と題した講演がありました。ここでは、台湾が進めている研究開発の方向性と現状、最新の可視光通信実用事例について、興味深い報告がなされました。50Mbpsを実現し、電波と組み合わせてロケーションサービスや病院内、店舗での応用活用が始まっているそうです。今は、40Mbpsの高速受信を達成目標にCMOS高速イメージセンサーの開発にも取り組んでいて、可視光で情報をダイレクトに送れることを目指していること、さらに今後は、水中可視光通信についても研究開発を進めるとのお話でした。
日本からは、海洋研究開発機構の澤隆雄氏により、「水中可視光通信」への取組みについての報告がありました。東洋電機との共同実験の成果と課題の報告、そして海の濁りに対してどう対応していくかなど、JAMSTECならではの切り口から、可視光通信の可能性を語られました。
※VLCWS2016ワークショップ講演資料の一部は、こちらからDLできます。
ご興味のある方はどうぞ!
昼食をはさみ、午後からは以下のチュートリアル講演がありました。
【京都工芸繊維大学 大柴小枝子氏による「LED光無線通信技術とその応用」】
【情報通信研究機構 宗正康氏による「超高速空間光通信の最先端」】
【VLCA事務局 鈴木修司氏「可視光通信実用技術および可視光IDとその標準化」】
可視光通信関連企業によるプレゼンテーションおよびデモ展示
初日の講演の最後には、可視光通信に関わる企業によるプレゼンテーションがありました。各企業の可視光通信への取組みと現状、今後の展開について、非常に興味深い話を聞くことができました。
プレゼンテーションを行った企業は以下の通りです。
・加賀電子株式会社
・株式会社三技協
・パナソニック株式会社
・不二電機工業株式会社
・ルネサスエレクトロニクス株式会社
・カシオ計算機株式会社
カシケンを運営する加賀電子からは、カシケン編集者の寿田龍人が登壇。ニュートラルな立場でエンドユーザーを多く持つ商社としての視点から、様々なマーケティング分野でマッチングのお手伝いができることを話しました。また、可視光通信を啓蒙するために立ち上げたサイト=可視光通信研究倶楽部(カシケン)についても、参加者にフライヤーを配布するなどしてご紹介をさせていただきました。
また、企業プレゼンテーションと並行して、別会場では各企業のデモ展示が行われました。
大学や研究機関による研究成果のポスター展示も、注目されました。
【静岡大学:偏光軸の傾き推定によるMDPolSKの誤り率改善効果】
(画像に光が入り、見えづらくて申し訳ありません!)
【茨城大学、東京理科大学:知的照明光通信のための新しいデータ伝送法】
【筑波大学:回転多面鏡とイメージセンサを組み合わせた可視光通信】
【総合研究大学院大学、北海道大学、国立情報学研究所:可視光通信による時刻同期とスマートフォン測位】
【新潟大学:視覚障害者ナビを目的とした可視光受信器-高速VLCカメラ及びタブレット内蔵カメラの応用】
【名古屋大学、静岡大学:デジタル映像コンテンツへの情報埋め込みを用いたイメージセンサ可視光通信における映像品質と通信品質の評価】
研究開発が世界的にも進んでいることがわかるワークショップではありましたが、企業出展は昨年と変わらない内容も多く、可視光通信の認知、実用性、普及のスピードがより望まれる印象が強く残るWSでした。
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