可視光通信の使い方 通信が見える光・見えない光
可視光通信は、可視光LEDの1秒間に数百万回の点滅に情報を載せ、それを送受信することで行う通信です。目で見える光であるために、送信先がわかるというメリットが可視光通信にあります。また、その逆の使い方をする場合も考えられます。
情報を発信する光に受光装置をかざして通信する=可視光通信の基本
可視光通信の歴史から考えてみます。その光がどんな意味を持っているのか(例:のろしや灯台の光)を事前に送受信者が了解している、ということから、可視光通信の歴史は始まっていると考えられています。
現在の可視光通信では、水中でのトランシーバーや博物館のガイドなど、情報を発信しているとわかっている発光部に向けて、受信機を受光させることで機能を発揮しています。今は、その情報量や通信速度の研究が進められており、4Kハイビジョンのデータなども、短距離ですが水中で送ることが可能なところまで実現化しています。
通信をワザと判らなくする可視光通信の使い方もある
可視光通信は、発信部の光に向けて受信して情報を得ることが基本です。しかし、情報を発信していることが知られたくないこともあります。
デジタルサイネージを例に上げると、受信する側が会員なのか非会員なのかによってサービスが変わる場合とか、特定の人以外にはただの看板としての情報発信のみを行いたい、といった場合がわかりやすいでしょう。画面の全体を可視光通信に使うということは、LEDの点滅にデジタル情報を乗せて発信するわけですから、画像としての性能が成り立たなくなる可能性があります。
しかし、こうしたタイプの画面でも可視光通信を可能にする良い使い方も、研究されているようです。
人の目は画面の全体を見ているわけではない
家庭のテレビでもデジタルサイネージでも、人は画面全体を見ているわけではありません。その人が注目したいと意識した物や人物に集中するのです。たとえば、ニュース番組ではニュースキャスターに注目しますし、スポーツの試合では選手の動きや画面の端のスコアに注目します。
したがって、人は常に画面全体を見ていないわけで、必ず死角となる部分が存在します。デジタルサイネージでも、何も変化のない端の方は基本的に人が注目しにくい死角の部分です。この死角の部分を使って、可視光通信サービスを行うことが考えられています。
可視光IDでの本人確認を行うことができれば、商業ベースでのデジタルサイネージで、店舗や商品の宣伝を行う場合に会員のみへの割引クーポンを送ることが可能です。会員でない人にも、何も損傷のない画像で宣伝を伝えることができるという使い方もできるのです。その場合の可視光IDの容量は、数キロビットもあれば十分でしょう。したがって、スマートフォンについているカメラをかざして数秒で受信が可能なのです。
デジタルサイネージのブームで、現在街中には、LEDのバックライトを使った液晶ディスプレーや純粋にLEDを使ったディスプレーが散在しています。デジタルサイネージのLEDでは、このような可視光通信としての使い方も考えられているのです。このようにあらゆる場所で、可視光通信の新たな使い方が、今後もたくさん出てくることを期待したいものです。
※この記事は2015年1月27日の記事に加筆し、更新したものです
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