公開日: 最終更新日:2018/10/15

可視光通信技術のパイオニア カシオ計算機『Picalico(ピカリコ)』に迫る! カシオ計算機株式会社 インタビュー【Vol.1】

『答え一発! カシオミニ』 昭和世代にはメロディも思い浮かびそうな懐かしいフレーズです。1957年の創業より、「創造 貢献」を経営テーマに、それまでにない斬新な働きを持つさまざまな製品を世に送り出してきたカシオ計算機は、実は可視光通信の分野のパイオニアでもあります。 IMG_3469 すでに可視光通信でのサービスを具現化しOn Businessとされている経緯を伺いに、初期より研究開発に携わられた飯塚宣男氏と菊地正哲氏を訪ね、羽村技術センターにお伺いしました。 IMG_3539 飯塚宣男氏 カシオ計算機株式会社 羽村技術センター OIT企画推進部部長(左) 菊地正哲氏 同 アシスタントマネージャー(右) 寿田龍人 カシケン運営・聞き手(中央)

 カシオ計算機と可視光通信の出逢い

 可視光通信という言葉が出始めたのは、2003年後半から2004年くらいだったと思いますが、弊社ではその概念が生まれる前の2000年頃から、カメラ技術の応用、ユーザインターフェイスの研究テーマの一つとして、カメラとトラッキングの研究を進めていました。 色が付いたものを追いかける技術がすでにあったので、最初は青いものを追いかけてみよう、というところから始めて。でも青い背景や青空ではダメだね、じゃあ赤は・・・といっても同じことで、結局色はダメだねということになり、カタチは? でも形に頼ると応用性がないし処理も大変だ・・・などとやっているうちに、比較的早い時期に「変調で、モノや位置の識別やデータ送信する」という研究テーマに落ち着きました。 1~2年で基礎技術は確立したのですが、当時はまだ携帯電話にカメラが普通に搭載されていない時代です。LEDが照明としてポピュラーになるという考えも、一般的にはまだありません。カメラの技術が情報通信の受信機になるの? 光源は? と、応用面で大きな壁にぶつかったんです。技術はユニークだけれどそれでどうする? ということで、2001年の暮れにカメラで変調光をとるという基礎開発はいったん終了しました。ちょっと早すぎたんですね。 2003年10月に、慶應義塾大学の中川先生(※注1)が、シーテックで可視光通信というご講演をされました。そこで、うちがやっているのは可視光通信だったんじゃないか? と気付いて、すぐに中川先生にご相談したんです。先生からは、可視光通信は照明でやるものだけれどこれはこれでおもしろい、と強力にプッシュしていただきまして、それで可視光通信コンソーシアムの創会メンバーに加わりました。 IMG_3491 ※注1:中川正雄氏 工学博士 慶応義塾大学名誉教授 株式会社中川研究所 名誉会長 (社)可視光通信協会 理事

 スマホ時代の到来

 コンソーシアムに加入された皆さんは、フォトダイオードベースで当時最低でも数十キロbpsと通信速度を上げる方向で進めていらっしゃいましたが、弊社だけが「カメラでやります」と宣言して違う路線にいました(笑) 会社には、可視光通信という大きな動きがあるので何かになるかもしれませんよ、と申し出て、もう一度研究テーマ化しました。まだスマートフォンもありませんし、フリッカしてはいけないという前提があったので、カメラも専用のハードウエアを試作品として用意して。 技術の到達点らしきところまですぐに行きましたが、またまたマーケットの入口が見つけられませんでした。普通のデジカメに入れるとしたら、明らかにコストが上がります。どうしようか、また塩漬けか…という頃に、スマホ時代がやってきたんです。 この技術の研究を進める中で、実際に利用する人にとっては何が利点なのかを並行して探っていました。すると、1日に10~100回くらい変わるデータをパッと取れれば良い、スピードは気にしないから多点で一気に情報をとることこそが大事なんだという要望も実は多いんだということがわかりました。 我々はずっと、フリッカしちゃいけない、高速じゃなくちゃいけないと思いこんでやっていました。でもスマホにギリギリのせられる状況になった時、その要望なら低速で十分ということになり、それにRGBと黒の4色を加えることで、今のPicalico(ピカリコ)になったんです。(飯塚氏 談) IMG_3499
Picalicoサービスご紹介
ピカピカメラ

なんと! カシオ計算機では、可視光通信という言葉が生まれる前から研究が始まっていたのですね。パイオニアである所以です。次回は、こうした経緯から生まれたカシオ計算機の可視光通信技術「Picalico」について、詳しくお話を伺います。

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