トラック隊列走行に利用された光無線通信、三技協のLED Backhaul!~現場からのレポート~
2020年3月から都市部の一部のエリアで開始された5G。「超高速」「低遅延」「多数同時接続」の特徴を活かし自動車の自動走行にも活用される研究は日々進んでいます。しかし、「超高速」「低遅延」では「光」も負けていません。Beyond 5Gに向けて「光」は益々注目されています。
今回は三技協のLEDを使用した光無線通信トランシーバLED Backhaulを使ったトラック隊列走行が公道で初めて実証実験された現地レポートです。LEDが使われた理由の1つにはレーザーに比べて焦点合わせが容易であり直線だけではない道路の走行に適していることがあげられます。
「トラック隊列無人走行、公道実証がついに実現!」
2021年2月22日午前10時、新東名高速道路上り浜松サービスエリアに、大きな人集りができていました。
3台のデコレーションされたトラックを中心に、高速道路交通警察隊、高速道路パトロールカー、警備スタッフ、関係者と思われる背広姿の人たち、ビデオカメラが取り付けられた高所作業車など並々ならぬ雰囲気が漂っています。
サービスエリアに置かれているパンフレットによると、これから「電子牽引による後続車無人走行の実証実験」が浜松サービスエリア―遠州森町パーキングエリアの約15kmの間で行われるということです。
経済産業省・国土交通省が推進する「トラック隊列走行の社会実装に向けた実証」プロジェクトにおいて、これまで後続有人走行による実証が進められていましたが、遂に公道で後続無人走行が初めて実現されます。
自動運転の実現に向けた技術革新は日進月歩でありますが、まさか隊列無人走行が実現できるレベルに達しているということに、正直驚きを隠せません。
トラック隊列無人走行が実現されることにより、トラックドライバー不足の解消や燃費の向上など物流業界を取り巻く環境の改善が期待されます。
「いざ後続無人走行へ、実証実験のスタート!」
トラックが隊列を形成し、低速で浜松サービスエリアを出ていきます。
先頭車両はドライバーが運転をしていますが、2台目、3台目の運転席は無人です。
トラック間は「電子牽引」ということで、物理的な連結はなされていません。
電波と光無線により冗長構成を形成し、絶対に切断しない通信経路が構成されています。
落雷や違法電波の影響による干渉など、あらゆる通信断の影響を軽減するために、電波とは性質の異なる光無線通信システムの採用が不可欠必要で、光無線通信システムとの冗長化により電子牽引が実現されたといいます。
トラック隊列は、本線合流に向けて徐々に加速をし、順調に3台のトラックが本線に合流していきます。
車間距離は5~10mの間で制御され、高速走行時は9mを維持します。
これまでの公道実証実験にて、車間20mで走行した際に、トラック間に車両が割り込み、ドライバーが介入して操作をしないといけない事態が報告されています。「電子牽引」を実現させるために、通信の低遅延性を追求し、時速80km/hでも車間距離9mを維持できるようになったといいいます。さすがに、巨大なトラックを目の当たりにして、9mの車間に割り込む空きは見当たりません。
高速道路の本線走行中の道路のつなぎ目などのノイズにも問題なく対応しています。時速80km/h、車間9mにて安定走行しています。光無線はその昔屋外で使用すると著しく性能を低下させることがありましたが、晴天下でも運用できるようになっています。
そうしている内にトラックの隊列は隊列を組んだまま車線を変更し、遠州森町パーキングエリアに向かう側道へ、そして駐車場に停車しました。
ついに、後続車両無人化による公道実証が実現されたのです。
「三技協のLED Backhaulが車車間通信に利用」
この光車車間通信を担当したのは、先進モビリティ、パーソルAVCテクノロジー、三技協の3社。三技協の製品である低遅延・高速大容量の「LED Backhaul」を隊列走行向けにレンズを含む光学系を一新して、適用させています。
実際に商用車両に搭載されるようになるまでは、もう少し時間がかかると思いますが、この実証実験の成功により、AGV、AMRといったロボット、また、専用線を走るBRTに採用されることが大いに期待されます。
「電子牽引」の実現により、物理的な制約がなくなり、利便性が格段に高まります。
カシケンは、光無線が支える未来の物流にも注目してきます。
<参考リンク>
◇経済産業省 metichannel 走行時の様子(動画):
高速道路におけるトラックの後続車無人隊列走行技術を実現しました②走行時の様子 – YouTube
◇経済産業省 ニュースリリースアーカイブ:
高速道路におけるトラックの後続車無人隊列走行技術を実現しました (METI/経済産業省)
◇豊田通商株式会社様HP:
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