可視光通信とWi-Fiの用途は? 住み分けは?
可視光通信(かしこうつうしん)は「人の目に見える光」による無線通信です。すでに一般に普及しているWi-Fiは電波による無線通信です。
同じ無線通信ですが、可視光通信はどのような用途で発展していく可能性があるのでしょうか?
可視光通信とWi-Fiのハイブリッドな利用法
可視光通信は、LEDの利用分野や範囲の拡大とともに、今後さらなる飛躍が期待されています。しかし、Wi-Fiや光ファイバーでのインターネット接続による大容量高速通信など、すでに通信インフラとして普及、確立している領域で、同様の用途を目指した技術の高性能化を追求する必要はないと思われます。(実際は、Li-Fiという通信規格の実用化の研究が進められています。)
それよりはむしろ、可視光の特性を生かした用途を新たに創造し、応用していくことが望ましいでしょう。LED照明やLED信号、LEDディスプレイなど、既存の社会インフラに用いられている可視光光源に付加した情報通信や、セキュリティや安全性を重視する通信など、他の通信手段がカバーできない部分と組み合わせて、ハイブリッドな利用法が開発されることが望まれます。
可視光通信の特性を生かした新たな用途
病院や精密機器類を扱う施設など、電波の利用が制限されている場所ではWi-Fiなどの無線LANを使えず、有線LANではケーブルの取り扱いに問題が生じます。こうした場所での用途に、「人の目に見える光」を使う可視光通信が注目されています。
特に実用化が進んでいるのは、LED照明の可視光による情報転送技術です。関連する展示会である「ワイヤレスジャパン2014」では、工場や倉庫、病院などで導入実験がはじまっているLEDを利用した光ビーコンを使ったロケーションモニターの事例が紹介されました。国内では他にも、続々と開発事例が発表されています。
また、台北の国立大学では、会議などで使用されるレーザーポインターを使って、安価な可視光通信システムの研究を進めていることもレポートされています。
可視光通信は、大気の状態が不安定な屋外や長距離転送には向きませんが、屋内での手軽な高速通信システムを構築するには、最適な通信システムです。可視光の特性を生かすことで、従来不可能とされていた問題への魅力的なソリューションや、常識では考えつかなかった用途への応用技術が、今後ますます増えてくるものと期待されます。
※この記事は2014年10月15日の記事に加筆し、更新したものです
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