一つ一つの光が意味をもつ時代へ パナソニックの『光ID技術』 パナソニック 光ID技術開発者インタビュー【Vol.2】

公開日:  最終更新日:2017/02/12

パナソニック

「光ID技術」の開発により、可視光通信分野のトップランナーとしてマーケットを切り開くパナソニック。技術顧問の大嶋光昭氏へのインタビューVol.1では、光ID技術の開発経緯について伺いました。今回は、開発された光ID技術の製品化についてお話いただきます。

受信時間の目標は0.3秒

私はカメラの専門家ですが、シャッタースピードなどを0.1秒以下にすると、人間の感覚を越えてしまいます。理論上は可能であっても、人間にとってわかる最速のところまで実用化を目指し、それ以上の設計はカメラのコストがかかるだけで意味がないからやりません。インターネット検索において、データ取得に関する人間の許容時間は0.3秒であるというデータがありました。そこで、最初に「ゴールは0.3秒」という目標値を設定して、実際にそれを実現するような設計をしました。一気に速度があがりましたが、過剰品質にならないよう注意しました。

技術的にはひとまずめどが立ちましたが、次はアプリケーションが問題になりました。アプリケーションをどう探すか。パナソニックは、照明からではなく「看板」から、可視光通信の可能性を探りました。映画の看板なら映画の情報がとれればいい、バス停の看板なら運行状況が出てくればいい、と、看板の役割から情報をひもづけていったわけです。そのように可能性をいろいろ探り、実証実験の場を探しながら、技術的にはどんどんブラッシュアップしていました。

パナソニック大嶋光昭氏

ブレイクスルーは伊勢丹新宿本店での実証実験

そんな時に、たまたま三越伊勢丹様とご縁があって、光ID技術の可能性に興味を持ってもらいました。2014年2月のことです。実際の実証実験はその年の12月に、伊勢丹新宿本店行われましたから、約10カ月の間に「実証実験をやる」という前提のもとで商品らしきものができあがっていきました。実証実験をやるとなれば、発信側のLED照明から受信側のスマホの準備、モニターからアプリケーションからなにからなにまで、とにかく必要なものは全部揃えなければなりません。具体的なターゲットがあったからこそ、商品としての体裁を形作れたといえます。とてもよいきっかけになりました。

伊勢丹新宿本店で行った実証実験は、特定の光に専用のスマホをかざしてもらうと、特別な商品情報がスマートフォン(スマホ)に提示されるというものです。光には、直進性、指向性があります。たくさんの情報も個別の光ごと、それぞれの商品に対する情報がスマホに掲示されます。光にスマホを向ければ何か特別なことがスマホに起きる、そんな体験をされたお客様にはすごく楽しんでもらえたようです。

この時の実験をそっくりそのまま、2015年1月に北米ラスベガスで開催された「2015 International CES」に参考出品として展示したところ、大きな反響を得ました。現在、光IDソリューションとして「光ID送信機」「光IDサービスプラットフォーム(クラウドサービス)」「LinkRay(スマホ用アプリ)」を提供しています。アプリの「LinkRay」という名称は、商標の関係で使える言葉を見つけて「光をつなげる」というイメージで命名しました。

LinkRayは個別の企画はもちろん、「イベント用」「施設案内用」「広告用」の3種類のパッケージを用意して、手軽に導入していただけるようサービス展開を図っています。実証実験から2年経過して、様々な分野での導入が進んでいます。

LinkRay

LinkRayの今後の展望は?

技術開発も進んでいます。懸案としてあるのは、ビットレートです。これをもっと上げたいのですが、イメージセンサー側の制約があるため、今は5kbpsです。もともとスマホのイメージセンサーは可視光通信用に設計されているわけではありませんから、効率が悪いんですね。

遅いと言っても人間が感知できる最速0.3秒はクリアしていますから、十分早い速度です。でも世の中がもっと速度を必要とすれば、たとえばIDではなくデータそのものを送ることが必要になれば、技術的には対応できるところまで来ています。

次の世代ではどれだけ速くなるかはわかりませんが、ビットレートの向上は、受け側のスマホのカメラの性能に依存します。つまり、LinkRayのロードマップは、スマホのカメラ側の問題になってくるわけです。パナソニックとしてはLinkRayの受信性能がよくなる方法をスマホメーカーに提案していくつもりです。このように効率と普及スピードを注視しながら、技術の進化を続けていきます。(大嶋氏談)

Vol.3では、光IDの具体的な活用シーンと今後の展望について、お話を伺います。

・「光ID」技術について、パナソニック株式会社は日本とその他の国において特許を保有しています。
・「LinkRay」および「LinkRay」アイコンは、パナソニック株式会社の商標です。
・その他、記載の会社名および製品名は、一般に各社の商標または登録商標です。

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