公開日: 最終更新日:2018/10/15

テクノロジー×コンテンツ×可視光通信の未来を語る 株式会社ジョリーグッド 代表取締役 上路 健介氏インタビュー【Vol.2】 

「先端テクノロジーは、研究者やマニアのためにあるのではなく、誰もが毎日の生活で触れられる、“楽しいエンターテイメント”であるべき」と語る、株式会社ジョリーグッド 代表取締役の上路健介(じょうじけんすけ)氏。Vol.1では、先端技術が一般に受け入れられるには段階的なステップと仕掛けが必要だというお話を伺いました。今回はいよいよカシケンとして一番伺いたい、可視光通信の可能性についてお尋ねします。 JG_Logo_v10

可視光通信をコンシューマ発信ツールに?

可視光通信、おもしろそうです。可能性はすごくあるなぁ、と思います。 ぱっと思い浮かぶのは空間演出ですね。ライトの色が人に与える心理学的な要素とひもづけるとおもしろいかもしれません。色彩心理学と文化やスポーツを絡めていくとか、ファッションショーなどもよさそうです。登場するモノに関する情報を、照明を組み合わせて可視光通信で発信する。 あと、通信は通信でもあえてつながない、繋げないという選択肢で、可視光通信を考えるのもありですね。ノーIDでやりとりができるわけですから、限られた範囲でのクラウド化など、活用方法は生まれそうです。 自分側が発光して発信するというのはどうでしょう。たとえば、服が発光することで自分の体調、機嫌などの意思の伝達に使えるとか。今、受信だけの情報は極端に興味を持たれなくなっているので、自分が発信できてそれが色というのはわかりやすい。やはりパーソナライズされると、がぜんおもしろくなります。 情報を送るという概念ではなく、自分がアクションしたことで反応し、アウトプットが変わるようなものが楽しそうです。何かしら自己表現、パフォーマンスの一部になっているようなことがいいでしょうね。目立ちたがり屋が考えちゃうような。ヒーローものなどのスマートトイ系は相性が良いと思います。 IMG_0180

LINEが爆発的に受けたワケ

ウェアラブルもそうですが、可視光通信もハード側が先行していますね。よく、「うちはハードしか作りません、SDKを作るからあとはみなさんで作ってください」という姿勢の企業から相談を受けます。「APIだけ作りました、つなげられるんでこんなふうに動くんで、はい作ってください」って。全く何のお手本も示さずに、SDKさえ出しておけば勝手にやってくれると勘違いしているんですね。これはダメです。確かに勝手に考えはしますが、何が気持ちがいいか、どういうUIができるかは、やはり技術を一番よくわかっているハード側の人がサンプルを見せてあげないといけない。そこにもしっかり時間をかけてほしいんです。 iPhoneでも最初のアプリケーション、MAPやカメラ機能など標準的な機能は、まずAppleが自分たちで作るんです。Appleはそこに時間をかけます。それがシンプルで直観的で素晴らしい動きをすると、アプリ開発者もそれを見て、そんなUIができるならこんなこともできるかな、やってみよう、参加しようって思う。 LINEもそうです。チャットシステムそのものは珍しくもなんともありません。スタンプでコミュニケーションできるというコンテンツが良かった。最初のコニーとブラウン、このスタンプが非常にかわいくて大ウケしたんです。いきなり「みんなでスタンプ作ろうよ」ではなく、まず一発目は自分たちで研究したわけです。このキャラでこれができるんだったらあのキャラもこのキャラもできるって、発想できるようになります。 ここが全くない方が多い。確かに時間はかかりますが、何もなければ発想できないし、アプリやソフトを提供する側のリスクが高すぎます。 IMG_0182

可視光通信技術の開発側に望むこと

一般にしてみれば、先端テクノロジーの“機能の違い”は、それほど重要ではありません。デバイスにしても、中に入っているセンサーは大きく変わりませんから、機能自体も大差がありません。外側をプロテクトしているものが違うというだけなんですね。 では、差別化できるものは何かというと、どういったシーンでどんなふうに使ってほしいかというビジョンを、提供側がどのように描いているかということに尽きます。それがコンテンツと呼んでいるものです。 可視光通信の技術も同じだと思います。人はコンテンツを自分で「体験する」ことで自分事にし、その体験をシェアするようになっています。ある程度の技術が見えてきたら、ビジョンを明確化して、コンテンツをクリエイトする側の人間とちゃんとアライアンスを組んだ方がいい。そうしないと、開発側の視点だけでどんどん「なんでもできる=価値がない」方向に進んでしまって、一般に普及する方に向かいません。

ソフトウエア開発の立場から、鋭く切り込まれたご意見は、参考になることばかりでした。

最終回は、上路社長が目指す、テクノロジー×コンテンツの近未来像についてお話を伺います。
Vol.1

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