台湾工業技術研究院(ITRI)研究員に聞く!【前編】  ~ITRIはなぜ可視光通信に着目したのか?~

公開日:  最終更新日:2017/02/23

このたび、可視光通信研究倶楽部(カシケン)は、財団法人工業技術研究院(Industrial Technology Research Institute of Taiwan, R.O.C)へのインタビューを実施しました。国を上げて可視光通信技術の開発と産業への転換に注力する台湾。その背景と現在の研究動向について、研究員の皆様に貴重なお話を伺いました。

工業技術研究院ITRIとは

ITRI

ITRI財団法人工業技術研究院(Industrial Technology Research Institute of Taiwan, R.O.C)は、台湾政府経済部の直轄の財団として1973年に設立された、台湾最大の産業技術研究開発機構です。約6,000名のスタッフを擁し、その8割がPh.D.かMasterです。ITRIのミッションは、台湾の国の産業育成・発展のために、先進技術の開発はもちろん、それを産業にいち早く転換すること。実際に、ITRIからスピンオフした企業は200社を超えています。また、20,000件以上の特許を取得し、台湾産業の様々な分野の発展に寄与しています。設立当初、開発の中心は半導体などのハード主体で、TSMCやUMCなどに代表される半導体産業が育成されたのは、日本でもおなじみです。ここ数年はソフトウエアやサービス、SIなどの新しい分野へのプロジェクトが増えており、可視光通信技術の研究開発にも力を入れています。

2016年11月に慶應義塾大学を舞台に開催された、「可視光通信ワークショップ(VLCWS2016)(Link: http://www.kashikou.jp/kashikou/post-4263/)」に研究員が来日し、ITRIの可視光通信研究について発表されました。来日時には、継続的に可視光通信についての情報交換を行なっている加賀電子株式会社を表敬訪問されましたが、その際、カシケン運営担当もITRIの研究員の皆様と直接面会。日本の可視光通信情報サイトでITRIの活動、取り組みについて紹介してほしいとのご希望をいただきました。今回、ITRI日本事務所の施氏、楊氏のご協力を得て、台湾の研究員の皆様とテレビ会議を通じ、台湾における可視光通信研究の今についてお話を伺いました。

ITRI

ITRI台湾 左から何政祐氏, 劉彥良氏, 陳瑛芬氏, 陳雅琪氏
ITRI日本 左奥 施虹宇氏, 左手前 楊萬昱氏, 右 カシケン聞き手

ITRIが可視光通信に着目した理由

カシケン:ITRIが可視光通信に注目するきっかけは、どのようなことだったのでしょう?

劉彥良氏(以下 劉氏):ITRIでは、4年ほど前から可視光通信の研究を始めました。そもそもは、LED照明に注目したことがきっかけです。台湾はICT技術が進んでいることは知られていますが、スマート照明の開発もかなり進んでいます。そこで、LED照明に付加価値をつけ、次世代産業へつなげられないかというところからスタートしました。

ITRIのMissionは、台湾の産業育成、発展のための技術開発です。国内の産業育成が目的ですので、可視光通信ビジネスが国際的な競争力を高めることを念頭に置き、高い技術を開発して貢献したいと考えています。

ITRI

右)主にお話してくださった劉彥良(Yen-Liang Liu)氏
ITRI Deputy Technical Manager

カシケン:具体的にはどのような分野での研究を進められていますか?

劉氏:可視光の特性から、ブロードバンドとしての用途というよりも、WiFiなどが使えない工場や病院内、水中通信としての利用をターゲットにして、研究しています。受信は、スマートフォンに組み込まれるCMOSセンサーを基本に、アプリケーションも含めたシステム開発に取り組んでいます。ただ、スマホでWiFIレベルのスピードの受信をする技術は短期的には難しいと考えていて、中長期的にWiFiと共存する発展形を見据えながらやっていこうと思っています。たとえば位置測定などの分野は、指向性や直進性のある可視光通信の方が優れています。こうした技術を、WiFiレベルの高速通信技術と共存させる応用開発の研究ですね。

カシケン:昨年のVCLAのワークショップでは、すでに導入されている事例として病院での活用についての発表をされていましたね。

劉氏:昨年(2016年)から実用化へのトライアルがスタートした事例です。入院患者の心拍数や血圧などを測定する機器を、病院内でナースがワゴンに乗せて運ぶ光景を目にしたことがあると思います。そのワゴンと天井の照明を使って可視光通信を行うことで、位置情報をナースステーションに表示させています。これにより、ナースの引き継ぎ作業の効率化と負荷の軽減を図っています。病院内は電波無線の干渉を嫌う(電波の影響により誤作動の可能性のある)機器が多数あります。このトライアルからさらに発展させたアプリケーションも開発中で、病院内の通信や業務効率の改善に寄与するものになります。

 

VLCA ITRI hospital

台湾の病院内における活用例概念図

後編では、2017年以降にスタートする取り組みについて、具体的なお話を伺います。

 

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